ひと夏のキセキ

せっかく決めたのに、意味がなくなっちゃう。


もう遥輝を傷つけないために決意したのに。


「…私、もうすぐ死ぬんだよ」


「そんなの関係ない。“今”を一緒に生きたい」


そんなこと言わないで。


お願いだからもう何も言わないで…。


もう遥輝の優しさに甘えちゃいけないのに。


ここで遥輝を受け入れたら、また同じことの繰り返しだから。


「やりたいことリストだって、まだ全然叶えてないじゃん。全部叶えよう」


「嫌だ。もういいの。お願いだから私に構わないで」


もう遥輝を苦しめたくない。


「遥輝はこれから遥輝だけの人生を歩むんだよ。そこに私は必要ない」


「なんだよそれ。俺の人生勝手に決めつけんな」


今日初めて私に対して怒りの感情を向けた遥輝。


それでいい。


そのまま私に失望して、好きじゃなくなって、離れていってほしい。