ひと夏のキセキ

「絢は、自分が死んだら俺が傷つくと思って、もう会わないって言ってるんだろ?」


遥輝の腕の中でコクリと頷く。


「俺ならもう大丈夫だから」


「……でも…」


あんなふうに泣き崩れる遥輝を見てしまったら、もう…。


「久しぶりにここに来て、立ち直れた。不思議だよな。あんなに避けてきたのに、案外ここに来ると落ち着くし、頭がリセットされるんだよ」


それは本心?それとも私を安心させるための嘘?


遥輝はいつも私の嘘を見抜くのに、私は見抜くことができない。


「…俺は絢と違って嘘はつかねーよ」


「……エスパーやめてよ」


「絢が分かりやすいんだよ」


もう…。


なんなの……。


せっかく決意したのに、揺らいじゃうじゃん…。


「いっぱい傷つけて、悩ませて、泣かせて、ごめん。こんな俺でよければ、もう一度だけやり直してほしい」


……っ。


やめて…。


私を甘やかさないで…。