ひと夏のキセキ

「…私が思ってること、全部話していい?」


そう。


これが最後。


今日ここへ来るとき、そう決めた。


遥輝と会って、話して、笑顔を見てしまって、一度は気持ちが揺らいだけれど、次こそは間違わない。


遥輝を大切に思うからこそ、今日で終わらせなきゃいけない。


「うん。なに?」


「…遥輝のこと、好きじゃなくなった。だからもう会いたくない」


ごめんなさい。


ここへ来る前から決めていた。


もし今日会えなくても、メッセージで送るつもりだった。


もう会いたくない、遥輝のことは好きじゃない、と。


それが私の気持ちだって。


「…俺、言わなかったっけ」


遥輝の表情が引き攣っている。


「何を?」


目を合わせられない。


「絢の嘘は全部に分かるって」


…本当に遥輝はエスパーだね。


「そうだっけ。覚えてないや」