ひと夏のキセキ

「私が病気だから…。すぐに死んじゃうから…」


「違う。そんなこと言うな」


「でも、そうじゃん。付き合ったら遥輝を傷つけることになるって、最初から分かってたの。分かってたのに、自分の気持ちを抑えられなくて、自分勝手なことして…」


「それでも絢は悪くねぇよ。俺が強けりゃ傷つけずに済んだ話なんだから」


「ううん。遥輝は悪くない」


「ホントお前は頑固だな。じゃあお互いに悪かったってことにしとこ。それでいいだろ」


…優しいんだ。


やっぱり遥輝は優しい。


だから好き。


どうしようもなく好き。


ずっと一緒にいたい。


でも、ダメだ。


一緒にいても幸せにはなれない。


だから、この気持ちは抑えなきゃ。