ひと夏のキセキ

これが遥輝なりの雪解けの合図。


よかったね、遥輝。


心のわだかまり…少しは解消されたかな?


「…何?俺の顔になんかついてる?」


「ううん。なんでもない」


「なんだそれ」


この日初めて遥輝が笑った。


懐かしいその表情に胸がキュッと締めつけられる。


遥輝の笑顔を見るのはいつぶりだろう。


この顔が好きだった。


クールで整った顔をクシャッと崩す仕草がたまらなく好きだった。


ううん。


…今でも好き。


だから、あとでちゃんと話そう。


神田先生がせっかくこんな機会をくれたんだ。


恩を仇で返してはいけない。


最後までちゃんと遥輝と、病気と、向き合う。


それが私にできる最後のこと。