ひと夏のキセキ

「母さんのこと、茜のことは悪かったと思ってる」


「そんな薄っぺらな言葉の何を信じろっつーんだよ!!本当に悪いと思ってるなら、絢を救えよ!!もう誰も失いたくねぇんだよ…っ」


……っ。


「…ごめんな遥輝」


神田先生が深々と頭を下げた。


その姿を見て、遥輝は何を感じたんだろう。


こと切れたようにシートに座り込んでしまった。


やっぱり私は遥輝を苦しめることしかできないんだ。


「…お前が俺の願いを叶えてくれたことが何回あると思う?」


苦々しい顔で星を見上げる遥輝。


釣られて見上げると、夏の星座が一面に広がっていた。


「……ゼロ。俺は一度たりとも記憶にない」


先生の答えを待たずに遥輝は続ける。


「…最低な父親だよお前」


無機質な声でそれだけ告げ、遥輝は口を閉ざしてしまった。