こんなことなら夏祭りになんて行かなきゃよかった。


あの日、すべてを失った。


私がワガママ言ったから。


「私が悪いのは分かってる…っ。分かってるけど、やだよぉ…っ。遥輝に会いたい…っ。元通りの関係に戻りたいよぉ…っ。うぅ…っうぁ…」


点々とシーツにシミが増えていく。


“しんどい”


“好きになりたくなかった”


“神様の嫌がらせ”


遥輝の本音が何度も何度も胸を突いてくる。


苦しい。


私が病気じゃなければ。


私が普通の女の子なら。


こんな思いしなかったのに。


「もうやだよぉ…っ。あぁっうぅ…っうっ…」


遥輝の温もりが欲しい。


いつもみたいに、“泣くなよ”って頭を撫でてよ。


不器用な言葉で慰めてよ。


優しく抱きしめてよ。


全部全部、遥輝にしかできない。


遥輝じゃなきゃダメなのに。


でも私は遥輝とは付き合えない。


付き合っちゃいけない。


傷つけ合うだけの恋になんて、落ちたくなかった。