ひと夏のキセキ

でも、なにか話さなきゃ。


これ以上こんな空気耐えられない。


「…あのさ」


ジッと布団を見つめたまま口を開く。


遥輝の方は見れなかった。


「…私、遥輝のことが好き」


言いたいことは他にもあるはずなのに、カタコトみたいな日本語しか出てこない。


頑張らなきゃ。


ちゃんと伝えなきゃ。


「…遥輝に別れようって言われて、ショックだった。でも、意志が固そうだったから受け入れるしかないんだって思った。自分が病人だから仕方ないよねって。けど…無理だよ。やっぱり別れたくない」


別れたくない。


それが私の本当の声。


自分の気持ちを押し込めた偽りの声じゃない、本当の想い。


「遥輝の本当の気持ち、教えて…?本当に別れたいと思ってるなら、こんなもの残していかないよね…?」


“I will always be by your side.”
“Please keep holding my hands.”