ひと夏のキセキ

―コンコン


「っ!」


どうしよう、まだ心の準備が…。


「入って大丈夫?」


久しぶりに聞く遥輝の声に、胸がギュッと締め付けられる。


「だ…大丈夫…」


声、震えてないかな…?


平静を装えてるかな…?


扉がゆっくりスライドし、遥輝の姿が現れる。


「ひ、久しぶりだね…」


気まずい…。


目が合わせられない…。


布団をギュッと掴んで心臓を落ち着かせる。


「久しぶり」


遥輝は落ち着いた様子でベット近くの椅子に腰を下ろした。


「………」


「………」


気まずい沈黙が続く。


何から話せばいいんだろう。


私は何を話したかったんだったっけ。


わからない。


どうしたらいいのかわからない。