ひと夏のキセキ

なにもかも葵のおかげだ。


遥輝に連絡するきっかけを与えてくれたのも、勇気をくれたのも、この1週間支えてくれたのも。


感謝してもしきれないや…。


葵の厚意を無駄にしないためにも、ちゃんと遥輝と話そう。


でも…ちょっと緊張するな…。


どんな顔して会えばいいんだろう。


なんて言って話を始めればいいんだろう。


考えれば考えるほど分からなくなっていく。


【もうすぐ着く】


そんな連絡が来たのは、まだ心の準備が整っていない最中のこと。


「あぁ…どうしよう…」


なにか飲み物でも準備しておくべき?


なにか食べ物もあったほうがいい?


「もうすぐってどれくらいなんだろ」


どうしていいか分からずアタフタしている間に、刻一刻と時間は経過していく。