ひと夏のキセキ

ドキドキしながら返信を待つ。


既読はついているのに、返信はなかなか来ない。


迷ってるのかな…。


―ピコン


きた…。


「ふぅ……」


1度深呼吸してから震える指でスマホを開く。


【わかった】


「…!!」


会いに来てくれるんだ。


1週間ぶりに、会えるんだ。


「遥輝、会いに来てくれるって?」


「うん!!」


この1週間、ずっと寂しかった。


もう終わったことなんだと割り切ろうと思っても、なかなか前に進めなかった。


苦しくて、泣きたくて、でももう泣きたくなくて。


頭の中はグチャグチャで、心はポッカリ穴が開いたようだった。


でも、たった一言のLINEですべてが無くなるほどの喜びがあるんだ。


「ちゃんと素直な気持ち話すんだよ。何度も言うけど、あんたたちはお互いにお互いが必要なんだから」


「うん。本当にありがとう、葵」


「あたしは何もしてないよ。遥輝のことよろしく頼んだよ」


葵はそう言い残して病室を出ていった。