「アイツはさ、自分の誕生日が来るたびに、死んでいった母親のことを思い出すんだよ」


そんな…。


「アイツを誕生日に連れ出そうと、今まで何度も青涼の奴らと作戦を練った。でも、ダメだった。前後数日はいつも塞ぎ込んで、あたしらの声は届かない」


遥輝は今でも過去と闘っている。


表には見せていなくても、ツラい記憶と闘い続けている。


私にできることなんてあるんだろうか。


私は遥輝の重荷だ。


遥輝に3度目の死別を経験させようとしている張本人。


今さら、できることなんてあるのかな。


「あたしらの前ではクールぶって、偉そうにしてるアイツだけど、内心はすげー脆いじゃん。絢と別れるなんていう血迷ったことするぐらいだし。…遥輝って、けっこう危うい存在だなって見てて思うんだ。上手く言えないけどさ」