遥輝…。


遥輝は今苦しんでいる。


苦しいのは私だけじゃない。


別れを決断して、口にした遥輝だって、苦しかったに違いない。


「なぁ遥輝。逃げんなよ。大切な人がまたいなくなるかもしれない。自分一人では背負いきれない責任を感じてるかもしれない。でも、逃げんなよ。それがお前にできる最大限のことだよ」


『……』


「それに、あたしはそもそも、遥輝一人に責任を押し付けて絢を苦しめてる母親のほうに問題があると思ってる。だから、お前はなんも悪くねーよ」


葵…。


私は…なんて幸せ者なんだろう。


私のためにこんなに全力で向き合ってくれる友達がいて、幸せなんだな…私…。


「ありがとう、葵…」


「また泣いてる。あーあ、どっかのクソ野郎のせいで可愛い顔が台無しだわ」


「違うの、これは嬉しくて…」