翌日、私はさっそく神田先生のもとへ話をしに行くことにした。


「絢ちゃんの方から来るなんて珍しいね。何かお願い事でもあるのかな?」


心を読んで先回りするところが親子そっくりだ。


よく見れば、先生と遥輝はよく似ている。


銀縁眼鏡の奥の切れ長の目が冷たそうな印象を抱かせるけど、本当は暖かくて優しい眼差しで見てくれる先生。


遥輝の隠れた優しさは神田先生譲りなんだろうな…。  


なんて遥輝に言ったら絶縁されそうだから口が裂けても言えないけど。


「先生。私…夏祭りに行っちゃダメですか?」


「夏祭り?」


「どうしても行きたいんです」


今年しかチャンスはない。


私に来年の夏はないから。


せっかく遥輝が誘ってくれたんだ。


絶対に行きたい。