ひと夏のキセキ

「なんで目閉じてんの?眠い?」


…わざとだ。


笑いを含んだ声で分かる。


まんまとハメられた恨みを込めて目を開けた瞬間、噛みつくようなキスが降ってきた。


「んんっ!」


とろけるような濃厚なキス。


クラッと目眩がする感覚。


全身の力が抜けそうになったところを遥輝の手が支えてくれた。


角度を変えて何度も何度も。


次第に苦しくなってきて、遥輝のシャツを掴む。


それでも遥輝はやめてくれなかった。


「ん…っ」


苦しい…。


でも、甘くて気持ち良くてたまらない。


「俺さ、主導権握られんの嫌なんだよね」


キスの途中で囁かれる。


「わかった?」


「〜っ」


そんな色っぽい声色と顔で言われたらとろけちゃいそうだよ…っ。


恥ずかしい…。


「返事は?」


「わ、わかったから!」


これ以上ドキドキさせられたらおかしくなっちゃう。