ひと夏のキセキ

「耳弱いよな〜」


今度は指で耳をなぞられ、ゾクッと全身が震える。


「こっち向けよ。なんで目逸らすの?」


後頭部に手を回され、強引に遥輝の方を向かされた。


恥しくて、緊張して、目が合わせられない私と真反対に、遥輝はグイクイ合わせてくる。


少し動けば顔が触れ合う至近距離に遥輝がいる。


キス…される…?


遥輝の手が耳から頬に優しく動く。


目を閉じてその時を待つ。


だけど、いくら待っても唇が重なることはなかった。


勘違いだった…。


キスされるかと思っちゃった…。


どうしよう恥しくて目が開けられない。


キス待ちの顔を見られてしまった…。


私ったら何してるんだろう。


恥ずかしすぎるよ…。