ひと夏のキセキ

「へぇーー。そんな遥輝見たことないな」


「よっぽど絢のこと気に入ったんだろうな。あの男、意外と単純だから」


私のために優しくしてくれてるというよりは、あれが遥輝の素だと思うんだ。


気に入ったとかじゃなくて、あれが本当の遥輝だと思ってる。


「葵って俺らより遥輝に詳しいよな。なんでなの?一緒にいた期間そんなに変わんなくね?」


「ん?別にそんなことないって。それより今からどっか遊び行こーよ」


「ざけんな。来週からテストだっつーの」


「勉強したって変わらないくせによく言うよ」


「あ?うるせぇ黙れ。お前も同じろ」


「だから勉強しないんじゃん」


「留年すんぞ」


「仮にも暴走族が留年気にしてんの笑えるんだけど」


「うるせぇな」


青涼の皆は次から次へと話題が移り変わっていく。
 

目まぐるしくて追いつくのがやっとだけど、皆の会話を聞いているこの時間が楽しい。


ずっとずっと続けばいいのにな…。