ひと夏のキセキ

「わ、私は…遥輝の性格が悪いって思ったことないよ」


注目されることに慣れていないから上手く喋れてるか分からない。


それに、こんなに見られると恥ずかしい…。
 

「マジで言ってる?あんなの、愛想はない、傍若無人、自分勝手、気分屋のオンパレードだろ」


「傍若無人なんてアイツのためにある言葉だからな」


陸から並べられた言葉はどれも遥輝の印象にそぐわない。


私が知ってる遥輝と皆が知ってる遥輝は大きく違うんだ。


「遥輝は優しいよ。私がしたいことを叶えてくれるし、ずっと私の話を聞いてくれるし、全部受け入れてくれる」


治らない病気だと打ち明けても変わらず接してくれるし、やりたいことを叶えてやるって言ってくれた。


「…たしかに愛想はないかもしれないけど、よく笑ってくれるしよく褒めてくれるよ」


何度も何度も“可愛い”って言ってくれる。


ふとした時の笑顔にキュンとする。 


常に笑顔じゃなくてもいい。


時々顔をクシャっとさせて笑ってくれて、頭を撫でてくれるあの仕草が好き。