ひと夏のキセキ

「モテるのはモテるけど、泣かされた子たちは星の数ほどいるよ。アイツは自分が興味ある人間以外には、見てる俺らがドン引くほど冷たいから」


「さっきの対応なんてずいぶん優しかったよな。きっと絢ちゃんがいたからだろ。分かりやすい奴だよマジで」


あれで優しい対応なの…?


すごく怖かったけど…。


そんな遥輝が私には優しいのが嬉しかったりする。


怖いって思っちゃうような対応なんてされたことがないし、皆が冷たい冷たいって言ってるのもイマイチピンとこない。


そんなだから期待しちゃうんだ。


私だけ特別なんじゃないかって。


「絢はさ、よくあたしに“遥輝は優しい”とかなんとか言ってくるじゃん。それが理解できないんだよ。遥輝が優しいって何事?って感じじゃね?」


「マジでそれ。絢ちゃんに見せる顔と俺らに見せる顔、絶対別人だよな」


「でもさ、本来の遥輝はそっちなんだろうなって思わない?俺らには超えられない壁があるというかさ」


「まぁなぁ。俺らの始まりがそもそもただの利害関係だからしゃーねぇよ」