一週間以上が経過したが、メアリが離れに来た様子は見られない。
 それどころか、敷地内で、メアリの姿を見かけることも一切なかった。
 さすがにこの状況は、メアリの身に何かあったと考えるのが普通だろう。
 私はメアリのことを調べることにした――しかし、どうやって調べれば良いのだろうか?
 そこで真っ先に頭に浮かんだのが、先日メアリと一緒にいたエマである。
 エマであれば、メアリについて何らかの情報を持っているのではないか、と私は考えたのである。


 広い敷地内で、エマを見つけるのは大変だった。それに、エマを見かけても、周囲に人がたくさんいるところでは、声をかけることはしたくない。
 エマも、私と会話をしているところを見られたくはないだろう。
 そこで、私がメアリとエマの立ち話を聞いた場所で、エマを待ち伏せすることにした。


 私が思った通り、エマはあの場所に現れた。しかも、運よく近くに誰もいないようだ。
 意を決してエマに話しかけると、エマは非常に動揺していた。そして、当然のことながら、私と一緒にいるところを見られたくないようだった。
「メアリのことだけど……」
 あまり時間をかけられないと察した私は、単刀直入に聞いた。
 エマは一瞬、ハッとしたような表情をし、私から目をそらすように下を向いた。
「メアリさんは……辞められました」