おばあちゃんは私が伯爵令嬢だということも知っている。お母様が寝たきりであることや、私が家族にどんな扱いを受けているのかということも。使用人室で暮らしていて満足に食事も与えられないことを知って、私にアルヴィラでまかないを出してくれることもある。

 こうして深く聞かずにロンベルクへ送り出してくれるのは、きっと私の結婚が幸せなものじゃないことを、薄々気付いているのよね。
 私の口から辛い内容を説明しないで済むように、何も聞かず静かに見送ってくれているんだわ。

 おばあちゃん、ありがとう。
 私、おばあちゃんのことを思い出しながら頑張って生きていく。ここで出会った大切なお客様との出会いも、一生忘れない。

 また会える時まで、元気でいてね。