「婚約発表会見か…。

だいぶ話を進めたうえに逃げられないように追いつめてきたな」

「やっぱり、兄ちゃんもそう思う?」

「ああ、どう考えてもそう思う」

兄の返事を聞くと、私はスマートフォンをカバンの中に入れた。

私が先ほどスマートフォンで見ていたのは、社長と『トウゴウ』のお嬢さんが近日中に婚約発表会見を行うと言うニュースだった。

「それで、お前は何としてでも阻止したいと」

そう言った兄に、
「それももちろんなんだけど、1番の目的は“わからせる”と言うこと」
と、私は言い返した。

「ほお」

兄は先ほど頼んだねぎまをかじった。

「我が子の気持ちを全く理解してないあのクソ親父をわからせたい」

「うん」

私は兄に視線を向けた。