能ある彼女は敏腕社長に捕獲される

「ああ、初めまして…」

私たちも一緒になって頭を下げた。

「僕、門谷さんの仕事の関係者で…新入社員だった頃、門谷さんにお世話になったんです」
と、彼は言った。

「そうなんですか…」

私が返事をしたら、
「門谷さん、いつも言っていました。

“自分が働いているのは、家族につらい思いをして欲しくないから”って」
と、彼は言った。

「えっ?」

それは、どう言う意味なのだろうか?

「門谷さん、子供の頃はいつも大変な思いをしたと言っていたんです」

「大変な思い、ですか?」

私と兄は顔を見あわせた後で彼を見つめた。

「何でも、門谷さんが幼い頃に父親の事業が失敗してしまったみたいで…」

そんなことを聞いたのは初めてだった。