ホテルから出てきた私は、遊宜三(ゆぎみ)班長に出会いました。



「遊宜三班長…。
どうして…」

興重(おきえ)さん。
自由時間だからといって、外出するのは駄目ですよ」



バレてる!



「外出? 私が?」

「ビッグ・ベン、見に行く気ですよね?」



知ってる!!



「ビッグ・ベンは…見たじゃん、昼に!!!」



今日の昼に同じ班のメンバーとビッグ・ベンを見に行っている。



「でも興重さんは夜のビッグ・ベンも見たいんですよね?」



見たいです!!!



「遊宜三班長は……夜のライトアップされたビッグ・ベン…見たくないですか?」

「見てみたいですね」



それなら…。

遊宜三班長の左腕を私の右腕でがっしり掴む。



「一緒に見に行きましょう!!!」



共犯になりましょう!!!



「そうですね。
一緒に戻りましょう」



遊宜三班長がホテルに戻ろうと、右腕づたいに私を引っ張っていく。



「分かりました! ホテルに戻りますから!! 夜のビッグ・ベンは諦めますから!!! 右腕外させて下さい!!! 誰かに見られたら勘違い」

「俺と恋人だと思われるかもしれませんね。でもそれは腕を組んできた興重さんのせいでしょう」

「そうですけど…」

「外させませんよ。
これは俺を好きなのかと一瞬勘違いさせた罰なんですから」