魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

き、気づかなかったっ……。


司空さんは私の前で目線を合わせるようにひざまずく。


「夜明は決して、記憶を見たからあなたを信じたわけではありません」


あ……。


「あなたの噂を聞いて……鈴蘭様がそのような方であるはずがないと信じたからこそ、証明するために記憶を確認したのです」


夜明さんが記憶を見たとわかった時から……だから私のことを、ずっと信じてくれていたんだって思っていた。


『俺は鈴蘭を信じている。だから……鈴蘭も、俺だけを信じろ』


でも……そうじゃなかったんだ。


夜明さんは、記憶を見る前から……証拠もなにもなくても私のことを信じてくれていたんだ。


やっぱり……この人が、好きだ。