魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

中に入って、ソファで座っている夜明さんに駆け寄った。


「は、はい。お待たせしました……!」


「いや、大丈夫だ。……座ってくれ」


隣の席をぽんぽん叩いた夜明さん。私も失礼しますと言って、隣に座らせてもらう。


神妙な面持ちで少しの間黙り込んだ後、夜明さんはゆっくりと話しはじめた。


「記憶の件だ」


それは……食堂で見た件についての、お話かな……?


「あれは俺の能力の一種だ」


なんとなくそうだろうなとは思っていたから、こくりと頷いた。


「ラフは、他人の記憶を見ることができる。そしてその記憶をコピーする能力も持っていて……それを契約者である俺に渡すことができる」