騒動からも逃してくれたから、疲労感もない。
私を見ながら、何か言いたげな表情をしている右藤さん。
一度口を開けて……と思ったら閉じてを繰り返していて、私は「どうかしましたか?」と首をかしげた。
「その……鈴蘭様、このようなことを聞くのは失礼かもしれませんが……能力が発動する際に、何かきっかけはございませんでしたか?」
「え?」
きっかけ……?
そういえば……髪色が変わる前、何かあったかな……?
「わたくし、黒闇神家現当主の奥様……夜明様のお母様にお仕えしていた頃に、女神の能力が目覚める引き金に関することを、耳にしたことがございまして……」
「え?」
引き金?