魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~



荷造りをするため、部屋に移動した。


――コン、コン、コン。


「鈴蘭様、失礼いたします」


ノックの音と共に聞こえた、左藤さんの声。


ドアが開くと、うしろには右藤さんの姿もあった。


「荷造りのお手伝いに参りました」


「あ、ありがとうございます!」


ふたりは……私を見て、一瞬驚いたように見えたけど、すぐに表情を戻した。


きっと、突然髪色と瞳の色が変わって戸惑わせてしまったはずなのに、いつも通りを装ってくれるふたりに感謝する。


「あの、特に何を持っていけばいいのかわからなくて……」


「そうですね……お屋敷にはなんでも揃っていますので、必要最低限のもので構わないと思います」


「それじゃあ、学校の宿題と日記帳を持っていきます。って、これだったら全部カバンに入りますね」


あっという間に終わった荷造り。