荷造りをするため、部屋に移動した。
――コン、コン、コン。
「鈴蘭様、失礼いたします」
ノックの音と共に聞こえた、左藤さんの声。
ドアが開くと、うしろには右藤さんの姿もあった。
「荷造りのお手伝いに参りました」
「あ、ありがとうございます!」
ふたりは……私を見て、一瞬驚いたように見えたけど、すぐに表情を戻した。
きっと、突然髪色と瞳の色が変わって戸惑わせてしまったはずなのに、いつも通りを装ってくれるふたりに感謝する。
「あの、特に何を持っていけばいいのかわからなくて……」
「そうですね……お屋敷にはなんでも揃っていますので、必要最低限のもので構わないと思います」
「それじゃあ、学校の宿題と日記帳を持っていきます。って、これだったら全部カバンに入りますね」
あっという間に終わった荷造り。

