魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

いつも電話に出ない夜明さんが、珍しくワンコールで電話に出てくれる。


「夜明さん? 俺です、雪兎です」


『ああ、どうした?』


「鈴蘭が……ブランに向かったようです」


『ああ、知っている』


「え?」


その声色は落ち着いていて、夜明さんから焦りは感じられない。


鈴蘭がブランにいるかもしれないってわかってて……どうしてそんなに落ち着いていられるんだ?


『あの女をラフに見張らせていたんだ。……昨日、ついに動き出した』


あの女って……多分、双葉妹だよな……。


「動いたって……?」


『もうブランの食堂に着く。切るぞ』


食堂?


鈴蘭は、食堂にいるのか……?