ことの発端は、4限目が終わった時だった。


「鈴蘭、ラウンジ行くぞ」


「あ、あの……ごめんなさい、私ちょっと先生に用があるので、職員室に行ってからあとで向かいます」


は? 何言ってんの?


用事はなんだと問い詰めれば、鈴蘭はあからさまにうろたえた様子を見せた。


「ほ、本当にひとりで大丈夫です……!」


「あっ……おい!」


なんだあいつ……。


逃げた鈴蘭を見て、眉間にしわを寄せる。


おかしいな……追いかけるか。


「鈴蘭、危ないかもしれない……」


「は?」


うしろから声をかけてきた百虎妹。


その瞳が、不安で揺れているように見えた。


危ない……?