こんな事態になるとは、思いもせず。
『だから、あなたは能力を使って、鈴蘭を操ってほしいの。ブランをバカにするようなことを言わせてくれたらいい』
目を瞑って浮かび上がったのは、誰かが電話越しで、そんな頼みごとをしている場面だった。
これは紛れもなく、星蘭の声。
なんだこれは……黒闇神の能力か?
透視……? ではない……これは星蘭の視界だ。
他人の視界を共有できる……? いや、記憶を見る、とかか……?
こんな希少な能力は聞いたことがない。
だが、全て納得できた。
黒闇神家が今まで数々の汚職を暴いた件について……やはりこいつが関わっていたのか。