俺はひとりになるため、級長室のほうへとつま先を向けた。生徒たちをかき分けて歩き出す。


過去を悔やんだところで、どうしようもない……。


星蘭のことは直々に処罰を下すとして……どうやって黒闇神から鈴蘭を取り戻すかを考えよう。


都合が良すぎることもわかっている。


鈴蘭が女神の生まれ変わりだとわかったからではない。


俺は鈴蘭というひとりの人間を――愛している。


鈴蘭を恨んでいたのは、裏切られたと勘違いし、愛が憎しみに変わってしまったからなんだ。


あの誤解さえなければ、俺は今でも鈴蘭を手放していなかったと断言できる。


星蘭の嘘を信じ、鈴蘭のことを傷つけた罪は一生をかけて償う。