魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

黒闇神の視線は、以前見た時よりも一層怒りが込められているように感じた。


しかし、同時に怯えも見えた。


まるで……俺に鈴蘭を奪われることを、恐れているみたいに。


黒闇神がこんな顔をするということは……鈴蘭はまだ、俺のことを慕ってくれているということか……?


「行くぞ、鈴蘭」


待っ……!


一瞬の隙に、黒闇神は鈴蘭を抱えたまま瞬間移動した。


くそっ……行かれた……。


ギリッと歯をくいしばる。


鈴蘭が……黒闇神のもとに……。


このままだと……本当に、黒闇神と結婚してしまう。


あの時俺が手を離さなければ、奪われなかったというのに……っ。


星蘭と同じくらい、過去の自分を恨む。