魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

その上……一度はブランにいた鈴蘭を、ノワールに追い出したのは俺たちだ。


敵に塩を送るどころの話ではない。


それに、俺を含めて率先して鈴蘭を虐げていたものもいるだろう。


それがもし親にでもバレたら……勘当されてもおかしくない。


それほど魔族にとって、女神の生まれ変わりは絶対的な存在であった。


俺も、もし祖父がこのことを知ったら……。


一族から追い出されるかもしれない。


騒動の中、黒闇神が鈴蘭を連れて食堂から出ていこうとした。


待てっ……!


鈴蘭は……俺の――。


「――鈴蘭!!」


自分でも驚くくらいの大きな声が出た。