「はぁ……鈴蘭に感謝しろ」


この人はとことん鈴蘭には甘いらしい。


切り替えの速さにもはや感動するレベル。


鈴蘭も夜明さんが来て安心してるみたいだし……ふたりを見ていると痛感する。


俺の付け入る隙なんて、少しもないって。


悔しいけど……今は友達のままでいい。


もし、夜明さんが別の女にうつつを抜かしたり、何かあった時には……その時は俺がもらう。


だから、それまでは一番仲のいい友人として、ずっと鈴蘭の隣にいよう。


そのくらい許してくださいね、夜明さん……。


「運んでいる時間が惜しいな。……鈴蘭、俺に掴まれ」


「え、また瞬間移動する気ですか……? バレたら停学ですよ」


「保健室は誰もいない。今確認した」


今って……夜明さんは本当に、とんでもないな。


この人には……いつまで経っても勝てる気がしない。


そう思って、なぜか笑みがこぼれた。