魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

誤解ですと言おうとしたけど、やめた。


なんか、さっきまでの時間を、誤解のひとことで片付けたくなくて。


「鈴蘭のご好意です」


そう言えば、夜明さんは全員から黒いオーラを放った。


物の例えとかじゃなくて、本当に流れ出ているのが見える。


「黙れ」


このままじゃ、夜明さんのせいで体育館倉庫が崩壊してしまいそうだ。


「あ、あの、私が雪兎さんの言いつけを守らなかったからこんなことになったんです……! 雪兎さんを早く保健室に……!」


鈴蘭が夜明さんに駆け寄り、ぎゅっと手を握った。


夜明さんの機嫌はみるみるうちに良くなり、鈴蘭を見つめる瞳は別人かと思うほど甘かった。