一生徒の結界なんて、夜明さんにとってはないようなものらしい。
この人……瞬間移動使ったな……。
外の気温が一気に中に入ってきて、さっきまでの寒さは嘘のように暖かくなった。
あーあ……もう少し、ふたりでいたかった。
「夜明さん……!」
鈴蘭は俺を抱きしめたまま、助けに来てくれた夜明さんを見ている。
夜明さんはというと……もちろん、俺たちの状況を見て顔を歪めていた。
次期魔王の風格を感じる、恐ろしい表情で俺を睨んでいる。
「……おい、何をしてる」
「え……?」
「お前に聞いている、雪兎」
やばい……。鈴蘭の記憶を見た時くらいキレてる……。
「これは……」

