魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

隣の席に座っている雪兎さんが、なにやら青ざめた顔をしていた。


「雪兎さん、どうしたんですか……?」


「……いや、何も」


全然、何もって顔じゃない。


ますます心配になって、雪兎さんを見つめる。


「鈴蘭、ちょっと行ってくるから、お前は教室から絶対に出るな」


「え? 行くってどこに……?」


「……水買いに。ひとりで行くから、お前はここにいろ。いいか、絶対だぞ?」


まるで釘を刺すように言ってくる雪兎さん。


「わ、わかりました……!」


本当は心配だから、私も雪兎さんについていきたかったけど……雪兎さんが私のことを守るように夜明さんに言いつけられていることを知っている。