魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

「美虎、おはよ」


 百虎さんは気にせず、笑顔で美虎ちゃんに手を振っている。


「……おはよう」


「あれ? なんか嫌なことでもあった? 今日はいつもよりご機嫌ななめだね」


 えっ……そ、そうなの?


 司空さんと夜明さんがいたから……とかではなく?


 じっと美虎ちゃんを見ると、確かにいつもよりも表情が暗いような気がした。


 だけどそれは本当に少しだけで、至っていつも通りというか、普段との違いはそこまで感じない。


 美虎ちゃん、いつも声のトーンが一定だから、全く気づかなかった。


「自動販売機から……梅昆布茶が消えてた……」


「え? そうなの? 美虎あれ好きなのにね」