「鈴蘭、今日は何もなかったか? 些細なことでもいい、嫌なことがあれば言ってくれ」


 寮部屋に帰宅して、夜明さんが優しくそう聞いてくれた。


 これでもかというくらい心配そうに見つめてくれる夜明さんに、胸の奥が温かくなる。


 夜明さんの過保護さは、日に日に増している気がした。


 誰かに心配されるって、罪悪感もあるけど、こんなにも嬉しいんだな……。


 夜明さんの気持ちが、私の心の中に流れ込んでくるみたい。


「はいっ……! いつも通りに過ごせました」


 視線や話し声には少し疲れてしまったけど、特に声をかけてくる人もいなかったし、美虎ちゃんと雪兎さんがずっと一緒にいてくれたから平気だった。