「……ですがおじいさま、まだ望みはございます」


「……何?」


俺の中に残っている、唯一の希望。


それは……。


「双葉鈴蘭が本当に愛しているのは、黒闇神夜明ではなくこの僕です」


鈴蘭の中にまだ、俺への恋慕が残っているということ。


確証はないが、鈴蘭が俺のことを想っていたのは確かだ。


 ならば……奪えばいい。


今からでも、遅くはないはずだ。


「なんだと……それは本当なのか」


「はい」


俺はそう言って、顔を上げた。


「必ず黒闇神から、鈴蘭を……女神の生まれ変わりを取り戻すとお約束します」


さっきまで怒りに支配されていた祖父の様子が、少しずつ変わる。