今も鈴蘭は、俺の隣で笑ってくれていたかもしれない。


『ルイス、さん……っ』


一昨日あの記憶を見てからというもの、鈴蘭が俺の名前を呼んで泣いている姿が頭から離れなくなった。


「人間ごときに騙されただと? ……ますます失望した」


俺だって、わかっている……。


一昨日、すぐに星蘭との婚約は破棄した。


あいつももうどうでもいいと言わんばかりに、すぐに了承したから婚約破棄はスムーズにいったが……。最後のあの、俺を見下すような瞳が忘れられない。


あいつには……それ相応の罰が下らなければ気が済まないっ……。


「申し訳ございません」


俺は頭を下げたあと、すうっと息を吸った。