魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

知らなかった、何もかも……俺は……。


こんなふうに、いじらしいほど俺を想ってくれていた鈴蘭に……俺は……なんて、ことを……っ。


あの日、鈴蘭に出会った時のことを思い出した。


この記憶と同じ非常階段で、鈴蘭を見つけて……俺はその美しさに魅了された。


運命を感じたんだ。こいつとなら、一生を添い遂げてもいいと。


添い遂げたい、と……。


どうしてその時の感情を忘れて、簡単に星蘭を信じてしまったんだろう。


鈴蘭はこんなにも……俺を想ってくれていたのに。


こんな絶望的な事実を知ったというのに、罪悪感と同時に喜びも溢れ出してしまう。


鈴蘭は本当に、俺に全く興味がなかったと思っていたから。