魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

俺はそう吐き捨て、周りにいたクラスメイトたちは祝福の声をあげた。


それが、地獄絵図に見えた。


やめろ……。


目の前にいる自分に訴える。


今すぐに、星蘭の手を離して……鈴蘭の手を掴むんだ。


今ならまだ、間に合うかもしれないっ……。


そう思っても、願っても、記憶が変わるわけはなかった。


鈴蘭は教室を出て、非常階段に走っていく。


誰もいないのを確認すると、次第に視界が滲んでいくのがわかった。


鈴蘭は扉にもたれかかりながらしゃがみこみ、ついにその視界は涙で見えなくなった。


『……っ、ルイス、さん……』


はっと息を吸い込む。


喉が詰まって、同時に吐き気もした。