「あ、あの……お洋服まで用意してくださって、ありがとうございますっ……」


お辞儀した鈴蘭を見て、母親がご満悦な様子だった。


「まあ……! とっても可愛い……! よく似合ってるわぁ……!!︎」


こいつが用意させたのか……。


鈴蘭が、照れたように小さく微笑む。


……可愛い。とてつもなく。


「……本当に可愛いわね」


母親もそう思ったのか、しみじみとつぶやいて深く頷いていた。


「当たり前だ」


鈴蘭だぞ。この世で一番可愛いのは当たり前だ。


駆け寄ってきた鈴蘭を見て、今すぐに抱きしめたい衝動を必死に抑えた。