魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

されるがままになっている鈴蘭に、下唇を噛む。


『何ぼうっと見てるのよ……謝りなさいよ!!︎』


嘘でも、好きではないと言えばいい。なら、こんなに殴られることはないだろう。


嘘でも否定できないほど……俺を、想ってくれていたのか……?


『鈴蘭、お前との婚約を破棄する』


すべてを知った上で過去の記憶を見ると、俺はなんてことをしたんだろうと思った。


絶対に間違えてはいけない選択肢を、俺は間違えてしまった。


『異論があるなら言ってみろ』


鈴蘭の視界に映る俺は、嫌悪に満ちた表情を浮かべていた。


鈴蘭は……さぞ怖かっただろう。


『俺たちの婚約破棄は成立だ』