魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

「そうだったの~! それじゃあ、これも食べてみて! 有名なパティシエが作ったチョコなの」


「いいんですかっ……!」


鈴蘭はともかく、母親も子供のようにはしゃいでいる。


ふたりで食べては幸せを噛み締めを繰り返し、その様子は見ていて微笑ましかった。


だが……鈴蘭を母親に取られているようで、少し気に入らない。


「おい、少し落ち着かせてくれ」


隣にいる親父にそう言うと、いつものように呑気に笑っている。


職務中はずっと仏頂面で淡々としているが、家では何も考えていないような間抜けな顔をしている父親だった。


「いいじゃないか、本当の母と娘のようで」