【side 夜明】 部屋について、鈴蘭をソファに下ろす。 もう涙は止まったのか、目をごしごしと擦っていた。 「ごめんなさい……ご両親の前で、みっともない姿を……」 みっともなくなんかない。 それに……擦ったら目が腫れてしまう。 もちろん鈴蘭は目が腫れていたって可愛いが、痛んだらかわいそうだ。 俺は鈴蘭の手を握って、擦るのをやめさせる。 代わりに、優しく涙を拭った。 「むしろ鈴蘭が安心できたようでよかった」 そう言えば、鈴蘭は嬉しそうに笑った。