硬くて、大きな手。夜明さんの手に……少し似ている気がした。


「おい、気安くさわるな」


私とお父さんの手を引き離すように、お父さんの腕を叩いた夜明さん。


「ははっ、わたしにまで嫉妬するなんて、夜明は案外恋愛脳だったんだな」


「初めての恋に浮かれてるのよ、あなたっ。思春期なんだから、からかうのはやめてあげましょう!」


「一番からかってるのは誰だ……」


3人からは和やかな空気が流れていて、まさに理想の親子の光景に見えた。


両親とちゃんと関係を築けなかった私には、とても眩しく見える。


仲良しの親子には、ずっと……ずっと憧れがあったから。