魔王子さま、ご執心!③~魔王子さまの寵愛はもう止められない~

この後、鈴蘭は俺の前から走って逃げ出したんだ。


逃げた鈴蘭は、自宅に帰ってきてすぐに洗面室にかけこんだ。


鏡で自分の顔を確認して、何やら頬をつねっている。


『あんなに素敵な人が……私のことを、好き……?』


まるで、信じられないというかのように、小さな声で呟いた。


頬は赤く、照れているように見えた。


『きっと、な、何かの間違い……』


いじらしい姿を見て、俺は初めて気づいたんだ。


『白神、ルイスさん……』


鈴蘭が――。


『また明日も……会えるかな……』


――俺のことを、想ってくれていたことを。


ずっと、鈴蘭は嫌々婚約を受け入れたのだと思っていた。